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2019-05-29

野外フェスのシーズン間近!~屋内音響と屋外音響のお話

こんにちは、製造部Iです。

オリンピックのチケット抽選予約、みなさんはできましたか?私はサッカーと野球に応募してみましたが、話を聞く限り倍率が高そうで当たる気がまったくしません。今までの人生でも、好きなバンドのライヴや野外フェスなどのチケットの当選率が相当低く、運気のなさを常々痛感しております。

さて、ライヴの話が出ましたが、今回の記事では「屋内音響と屋外音響の違い」についてまとめていきたいと思います。

屋内音響と屋外音響の違い

①反射音

多くの場合、ライブやコンサートはライヴハウス、コンサートホール、アリーナなどの屋内で行います。屋内音響の特徴としては何といっても「反射音」が存在することです。音が壁や床や天井にぶつかることで反射音が発生します。屋内のライブでは楽器やスピーカーから聞こえてくる「直接音」と、壁から跳ね返ってきた「反射音」を同時に耳にしていることになります。このバランスがうまくいかないとなんとももっさりとしたダブついた音空間が生まれてしまいます。

逆に屋外では障壁が少なく開放されていることが多く、反射音が少なくなります。音がより拡散されるため、スピーカーの出力もより大きなものが必要となります。スピーカーの感度・効率によって左右されますが、一般的に室内の場合の2倍程度の余裕を持ってセッティングすることが望ましいそうです。

②残響時間

反射音が壁や床や天井にぶつかって耳に届くときの独特の聞こえ方を「残響」と呼びます。お風呂場やプールなどで声を出した時に自分の声が響くのを経験したことがあるかと思いますが、あれがまさに残響音です。

そして、「残響時間」というのは、音のエネルギーが原音の100万分の1に減衰するまでにかかる時間のことを指します。音というものは、反射する度に熱に変換されるなどしてエネルギーを失っていきます。失われたエネルギーの残りが反射音のエネルギーとなり、反射を繰り返すことで徐々に音のエネルギーは小さくなっていきます。

残響時間の特徴として、

  • 空間の容積が大きいほど残響時間が長い
  • 空間に吸音材が少ないほど残響時間が長い

という点が挙げられます。
音響と言うものは、反響が強すぎると音が混ざりあってしまい台無しに、音がデッド(吸音しない)すぎても味気がなく、反射と吸音のバランスが求められます。
音質の良いコンサートホールはこれらの特徴を活かし、程よい残響時間を作り出すように設計されています。

また、屋外ではそもそも反射音があまり存在しないので、残響音も必然的に少なくなります。ちなみに新潟で毎年開催されている「豪雪JAM」という野外フェスでは、雪が天然の吸音材の役割を果たし、屋外にもかかわらずすっきりとしたライブ音を楽しむことができるそうです。偶然か狙ってか、自然の力を音響に利用するとは凄いものですね。

③環境による外音の有無

屋外環境では室内と異なり、様々な外音が鳴っています。風の音、鳥や虫などの動物の声、子供の声、車などの乗り物音、アナウンスなどなど。したがって、音響環境という意味では室内より不確定要素が増える分調整が難しいと言えるかもしれません。屋外でのライブはPAさん(ライブ前に音響セッティングをする方)にとっても大変なことだと思います。演者のリアルな音が観客席にどのような音が届くか、経験と想像を駆使して短時間で調整できるスキルが必要となるためです。しかし難易度が高い分、いい音を作り出せた時の喜びもひとしおなのでしょう。

海外アーティストも注目の吸音パネル「SHIZUKA Stillness Panel」

静科では音響用の吸音パネル「SHIZUKA Stillness Panel (SSP)」の製造販売を行っております。こちらのパネルは弊社の防音パネルの技術を応用して開発されたもので、過去にはグラミー賞を受賞した海外アーティストのライブで使用された実績もあります。記事へのリンク

ライブで演奏者が自分の楽器の音を認識しやすくするために吸音パネルを使うのはよくあることですが、数ある吸音パネルの中から弊社のSSPを選んで頂いた理由が、その吸音性能の均一性にあります。通常、吸音材というものは得意/苦手な周波数帯域があり、吸音にムラが発生する可能性があります。SSPは低音域から中高音域までを均等に吸音できるため、音がより粒だって聞こえるようになります。SSPの購入については弊社へ直接お問い合わせ頂くか、Amazonでも販売しておりますので、この機会に是非ご検討してみてください。


神奈川県厚木市金田492-1